2026年3月19日
山辺天理歯科医師会では、市民の皆様がいつまでもご自身の歯でおいしく食事ができるよう、地域のお子さまの歯科健診結果を分析し、お口の健康増進に努めています。今回は、近年の天理市立小中学校における健診結果から見えてきた「むし歯」と「歯肉炎」の課題についてお伝えします。
1.むし歯は減っていますが、油断は禁物です
天理市内の小中学生の「う歯(むし歯)保有率」は、平成27年度から令和7年度にかけて、着実に減少傾向にあります。
小学校:平成27年度の42.5%から、令和7年度には23.9%まで改善しました。
中学校:平成27年度の23.4%から、令和7年度には15.2%まで減少しています。

【図1:市立小中 う歯保有率の経年推移】 天理市まなび推進課より
2.県や全国平均と比較すると、まだ高い水準にあります
むし歯の数は減っているものの、他の地域と比較すると、天理市の状況は依然として厳しいものがあります。最新のデータでも、天理市のう歯保有率は、奈良県平均および全国平均を大きく上回っています。
小学校(R6年度):市24.9%に対し、県20.0%、全国16.5%。
中学校(R6年度):市21.7%に対し、県11.9%、全国10.4%。

【図2:県・全国との比較】天理市まなび推進課より
3.深刻なのは「歯肉炎」:全国平均を大きく上回る現状
さらに注視すべきは、12歳児(中学1年生)の歯肉炎の所見がある割合です。天理市の数値は全国平均(国平均)とかけ離れて高い状態が続いています。
令和5年度のデータでは、国平均が4%未満であるのに対し、天理市は31.6%と非常に高い数値を示しています。

【図3:12歳児歯肉炎症有所見者率】奈良県歯科医師会調べ、文部科学省 学校保健統計調査より

【図4:歯肉炎の一例】
これらから言えること:歯科医師会からの重要なお願い
「むし歯がない=お口が健康」とは限りません
これまでは「むし歯さえなければ良い」と考えられがちでした。歯科医院に来られる保護者の方でも、お子様のお口の汚れがひどく、歯茎が赤く腫れあがっていても、「むし歯はありませんよ」と伝えると、それだけで安心して帰られてしまうことがあります。
しかし近年、むし歯菌が少なく、むし歯にはなりにくい一方で、お口の中に歯周病菌を多く抱え、重症の歯肉炎(歯周病予備軍)となっているお子さまが多く見受けられます。
40歳を過ぎて歯を失う最大の原因は「歯周病」です。
むし歯がない人は歯科医院から足が遠のきやすく、その間に自覚症状のないまま歯肉炎が進行してしまうケースがあります。子供の頃の歯肉炎を放置することは、将来、大切な歯を失うリスクを放置することに他なりません。
今すぐ取り組むべき3つの対策
1.1日3回(朝・昼・晩)のブラッシング習慣を
歯肉炎が多いのは、汚れ(プラーク)が十分に落とせていない証拠です。特に「朝」は登校・登園前で時間がない、「昼」は園や学校で磨かない、といった理由で回数が減りがちです。正しい習慣は子供のうちから身につける必要があります。
2.ご家庭でのフッ素配合歯磨き剤の使用
効果的なむし歯予防のために、フッ素をうまく利用しましょう。
3.歯科医院での定期的なケアと生活習慣の確認
効率のよいブラッシング方法の指導を受け、むし歯や歯肉炎の原因となる食生活習慣(おやつの食べ方など)をプロと一緒に確認しましょう。
お子さまの将来の健康のために、ご家族、学校、そして我々医療関係者が一体となって取り組んでいきましょう。
気になることがあれば、お近くの山辺天理歯科医師会所属の歯科医院へお気軽にご相談ください。


